[活発な女性]
ねぇねぇ、聞いた？
怪盗アニバーサリーがまた出たんだって！

[大人しそうな女性]
ふーん、また出たんだ。

[活発な女性]
あれ、あんまり驚かないんだ。
ねぇねぇ、せっかくだから私たちで
怪盗アニバーサリーを探さない？
私、サイン欲しいんだぁ〜

[大人しそうな女性]
……もしかして、最近色んな場所で
怪盗アニバーサリーが悪さしてるって話、知らない？

[活発な女性]
え？　知らない。どういうこと？

[大人しそうな女性]
少し前からね、怪盗アニバーサリーが
宝石ばっか盗んでいるんだって。
もー、なんでもかんでも！

前までは、色々しでかすけどなんだかんだで
面白いって好かれていたけどさ。
今じゃ、ただの泥棒だって。いろんな人に追われてるみたい。

[活発な女性]
えー、ショック……
私結構ファンだったのに〜

[大人しそうな女性]
ま、所詮は泥棒ってことね。
……
あ、そういえば知ってる？　この前、ホルグレンがさ――



-二人の話は、怪盗アニバーサリーから
ホルグレンの話に変わった-

[女性]
お兄さんの具合はどう？

[男性]
ん……大丈夫。元々そんなに大きな怪我じゃ
なかったからね。

[女性]
良かったぁ。……でも、運が悪かったよね。
よりによって、初めて警備についた日にそのお店が
怪盗アニバーサリーに狙われるなんて。

[男性]
運なんかじゃない。
悪いのは怪盗アニバーサリーだ！

[女性]
ご、ごめん。そう……そうだよね……
怪盗アニバーサリーのせいでお兄さんが怪我したんだもんね……

でも、あの怪盗アニバーサリーが人を傷つけるなんて……
お兄さんは怪盗アニバーサリーにどんなことをされたの？

[男性]
……兄さんの話だと、宝石を盗んだ怪盗アニバーサリーを
追いかける途中、よくわからない、なんらかの攻撃を受けたんだって。

そしたら兄さんは呪い状態になってしまった……
当然逃げる相手に追いつけなくなった兄さんは途方に暮れ……

その時、何故そこにいたのか……
いきなり現れたミノタウロスに兄さんは……

[女性]
それって、怪盗アニバーサリーじゃなくてミノタウロスのせいじゃない！

[男性]
そんなことない！
怪盗アニバーサリーの攻撃を受けてさえいなかったら
兄さんはミノタウロスを返り討ちに！

[女性]
無理だから！
ミノタウロス強いから！
あの人じゃ倒せないから！

[男性]
そんなことない！
実際、兄さんはこの前
これまた何故かいた深淵の騎士を一撃で倒したんだぞ！

[女性]
それ、みんなが攻撃して深淵の騎士が弱っていただけだから！
偶然攻撃が当たっただけだから！



-二人の話は脱線したようだ-

[えらそうな男性]
で……どう思う？　最近噂になっている怪盗アニバーサリーについて。
話によると、プロンテラ、ゲフェン、フェイヨン、アルベルタ……
被害にあっている宝石店は数えきれない程だそうだ。
どうして、こんな短期間にいくつもの宝石店が襲われる？
盗んだ宝石も数が多すぎてさばききれんだろう……目的は何だ？

[普通の男性]
俺はやはり金が目的だと思う。
所詮は怪盗。金に魅了されれば泥棒紛いなことも平気で行えるだろ。
あまった宝石はどこかに隠しておいて、
いざというときに使おうと考えている。そんな所じゃないか？

[ダメな男性]
チッチッチ。違うね。
多分怪盗アニバーサリーは誰かに脅かされているんだ！
命が惜しければ宝石を盗みだせとかなんとか！
あぁ……なんてかわいそうな人なんだろう……
大丈夫、きっと僕が救いだしてあげるよ！
そして二人の間で芽生える恋！　ゆくゆくはゴール……イン！

[えらそうな男性]
やはり金か……

[普通の男性]
だろうな……